報告書や現場写真をクラウドで共有する企業が増える一方で、「誰がどの情報にアクセスできるのか」という管理が追いついていないケースも少なくありません。情報処理推進機構(IPA)が公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」の組織編では、2位にサプライチェーンや委託先を狙った攻撃、7位に内部不正による情報漏えい等が選ばれています。
協力会社と情報をやり取りし、社内でも多くのスタッフが報告書を扱う不動産管理・ビル管理の業界にとって、アクセス範囲の設計は他人事ではないのではないでしょうか。
一方で、権限を厳しくしすぎると現場が使いにくくなり、結局メールやExcelでのやり取りに逆戻りしてしまいます。大切なのは、役割ごとに「必要な人に、必要な情報だけ」を届ける設計です。
そこで今回は、社内・協力会社・オーナーごとに、写真報告アプリのアクセス範囲を分けられる機能について紹介します。
権限設計を活用することによって、オーナーへのメール送信をゼロにした導入事例も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
写真報告アプリで権限管理が必要になる3つの場面
写真報告アプリの利用者が社内の数名だけであれば、全員が同じ画面を見る運用でも大きな問題はありません。
しかし、利用者が増えるにつれて、次のような場面で権限管理が必要になります。
- 社内で役割ごとに扱う情報や機能が異なる
- 協力会社のスタッフにもアプリを使ってもらう
- 顧客やオーナーにも報告書を閲覧してもらう
いずれの場面にも共通するのは、「全員に同じ画面を見せる」運用では、見せるべきでない情報まで見えてしまうか、逆に必要な人に情報が届かないかのどちらかになってしまうという点です。利用者が社外に広がるほど、権限管理は「あれば便利な機能」から「運用の前提条件」に変わります。
なお、まずは社内の少人数で報告書作成をデジタル化したいという段階であれば、標準的な権限で手軽に運用できる写真付き報告書作成アプリ「Raccoon」から始めるのも一つの方法です。
RaccoonProの権限管理機能で実現すること
汎用的な写真報告アプリは、すぐに使い始められる手軽さが魅力ですが、権限管理は標準的な範囲にとどまることが多く、標準版Raccoonでもアクセス権の設定は限定的です。
社長・営業・管理部門・報告書作成部門・協力会社・顧客のように、多くの立場が関わる業務を一つのアプリで回すには、自社の組織構造に合わせて権限を設計できる仕組みが必要になります。
そうした場合は、カスタマイズ版の「RaccoonPro」のように、役割ごとに使える機能や閲覧できる情報を細かく設計できるサービスを検討してみてください。RaccoonProでは、本部・支店・現場といった多階層の組織や、協力会社ごとの権限分けにも対応でき、社内のセキュリティポリシーに合わせてIP制限やSSO、監査ログなどを実装することも可能です。
とくに、アプリの利用者が多い場合は、フルカスタマイズ版の「RaccoonPro」で、下記のような機能を実装するのがおすすめです。
- 社内の役割ごとに「操作できる機能」と「閲覧できる情報」を分ける
- 協力会社のログインは割り当てられた物件だけに限定する
- 顧客・オーナーは「報告書」のみ閲覧できるようにする
どのような機能なのか、それぞれ具体的に見ていきましょう。
社内の役割ごとに「操作できる機能」と「閲覧できる情報」を分ける
社内であっても、役割によって必要な情報は異なります。特に注意したいのが、売上金額や契約単価といったお金に関する情報です。物件ごとの売上は経営判断に欠かせない一方、現場スタッフ全員に見せる必要はありません。こうした情報は、社長や管理部門など一部のメンバーに限定して公開するのが一般的です。
役割ごとの権限設計は、たとえば次のような形で整理できます。
| 役割 | 主な操作 | 閲覧できる情報の例 |
|---|---|---|
| 社長 | すべての操作・設定 | 全物件の報告書、売上・単価、担当者別の集計 |
| 営業 | 物件・顧客情報の登録 | 担当顧客の報告書、契約情報 |
| 管理部門 | 担当割り当て、報告書の承認・送付 | 全物件の報告書、売上・請求情報 |
| 報告書作成部門 | 撮影・報告書作成 | 担当物件の報告書(金額情報は非表示) |
| 協力会社スタッフ | 割り当て物件の撮影・報告 | 自社に割り当てられた物件のみ |
このように「誰が・何を操作でき・何を見られるか」を一覧にしておくと、アプリ化する際の要件も明確になります。権限設計の第一歩は、ツールを選ぶ前に自社の役割と情報の対応表を作ることです。
協力会社のログインは割り当てられた物件だけに限定する
清掃や設備点検を協力会社に委託している場合、協力会社のスタッフにもアプリで直接報告してもらえれば、報告書をメールで受け取って社内で取り込む手間がなくなります。
ただし、協力会社に全物件の情報が見えてしまうのは問題です。他社が担当する物件の住所や報告内容、取引条件などが閲覧できる状態は、情報漏えいのリスクにつながります。協力会社のアカウントは、自社に割り当てられた物件の閲覧と報告だけができるように制限しておく必要があります。
物件の割り当てを変更したときに、閲覧範囲も自動的に切り替わる仕組みにしておくと、担当替えや契約終了のたびに設定を見直す手間も省けます。
関連記事:点検・巡回の「不正」はどう防ぐ?アプリで捏造・物件間違いをゼロにする方法を解説!
顧客・オーナーは「報告書」のみ閲覧できるようにする
報告書の提出方法として、PDFを作成してメールで送付している会社はまだ多いのではないでしょうか。物件数が増えると、毎月数百通のメールを送る作業が管理部門の大きな負担になります。送付先の間違いによる誤送信のリスクも無視できません。
一方、顧客やオーナーが自分専用のアカウントでログインし、自分の物件の報告書だけを閲覧できるようにすれば、報告書の提出は完全に電子化できます。報告書が完成した時点で顧客側から確認できるため、メール送信そのものが不要になります。過去の報告書もいつでも見返せるため、「先月の報告書をもう一度送ってほしい」といった問い合わせ対応も減らせます。
また、「RaccoonPro」で実装できる「ビフォーアフター写真機能」や「コメント機能」と併用すれば、顧客満足度を高める効果も期待できます。
関連記事:ビフォーアフター写真機能|作業箇所ごとの前後撮影で報告書の信頼性を向上!
関連記事:点検報告書のコメント機能|文例集とAIコメント生成で所見の品質を担保する方法を解説!
導入事例:権限設計の見直しでオーナーへのメール送信がゼロに
首都圏でマンションやオフィスビル約300棟の清掃・点検を請け負う、ある建物管理会社では、協力会社8社と連携しながら報告業務を行っていました。協力会社からはメールで報告書を受け取り、事務スタッフが社内の共有フォルダに取り込んだうえで、オーナー向けにPDFを作成して毎月約500通のメールで送付していました。また、売上金額を含む物件台帳は社長と経理だけが見られるよう別のExcelで管理しており、物件情報の二重管理も課題になっていました。
そこで同社はRaccoonProを導入し、社長・営業・管理部門・現場スタッフ・協力会社・オーナーの6つの役割で権限を設計しました。売上情報は社長と管理部門だけに表示し、協力会社は割り当て物件のみ、オーナーは自分の物件の報告書のみを閲覧できる仕組みです。
その結果、オーナーへの報告書のメール送信は月約500通からゼロになり、協力会社からの報告書の取り込み作業も不要になりました。報告書の送付や台帳の二重管理に費やしていた事務作業は月約40時間削減されています。管理部門の担当者は「誰に何が見えているかを気にしながら送付する作業から解放され、本来の業務に時間を使えるようになった」と話しています。
このように、役割ごとに必要な情報だけを届ける権限設計を行えば、情報漏えいのリスクを抑えながら、報告業務の効率化も同時に実現できます。
役割ごとの権限管理には写真報告アプリRaccoonProがおすすめ!
社内の役割、協力会社、顧客やオーナーといった多くの立場が関わる報告業務では、「必要な人に、必要な情報だけ」を届ける権限設計が欠かせません。売上などお金に関する情報は一部のメンバーに限定し、協力会社には割り当て物件だけを、顧客やオーナーには自分の物件の報告書だけを公開することで、セキュリティと効率化を両立できます。
まずは社内での報告書作成をデジタル化したい場合は写真付き報告書作成アプリ「Raccoon」から、複数の役割に合わせた細かな権限管理が必要な場合はRaccoonProでのカスタマイズをご検討ください。
Raccoonについては、無料トライアルも可能です。



