清掃・ビル管理業界で今後パートが減る?106万円の壁撤廃による離職に備えるDXを解説!

不動産管理業務の効率化

ビルメンテナンス業界は、他業界と比較しても際立ってパート・アルバイト依存度の高い産業です。公益社団法人全国ビルメンテナンス協会の調査によると、ビルクリーニング業の従事者のうちパート・アルバイトが全体の約4分の3を占めています。さらに、60代以上の従事者が57.9%、70代以上でも27.0%と、高齢のパートスタッフに支えられているのが実態です。

こうした業界構造のもとで、2026年10月に予定されている社会保険の「106万円の壁」撤廃は、清掃・ビル管理業界にとって極めて大きなインパクトをもたらします。厚生労働省は、今回の改正で新たに約200万人が社会保険の加入対象になると試算しており、パート比率の高いビルメンテナンス業界は最も影響を受ける業種の一つといえるでしょう。

「手取りが減るなら週20時間未満に抑えたい」「扶養から外れるなら辞める」──こうした反応が現場で広がれば、すでに深刻な人手不足がさらに加速する可能性があります。

本記事では、106万円の壁撤廃が清掃・ビル管理業界に与える影響を整理したうえで、パート離職に備えて今から取り組むべき現場DXの具体的な進め方を解説します。

関連記事:社会保険の適用拡大に不動産管理会社はどう対応する?「パート大量離職」に備える省人化DX戦略を紹介!

執筆者
Raccoon開発者
牧野雄一郎

中小企業診断士・プログラマー・トライプランニング取締役
精密機器メーカーでの製造業エンジニアの出身、現在は中小企業向けフルカスタムのアプリ開発で、設計、実装、運用を全てこなすフルスタックエンジニアとして活躍中。製造業出身+診断士+プログラマーとして、経営と現場の両方にとって有益で使いやすい情報システム開発を実現していることが特徴。

牧野雄一郎をフォローする
報告書作成時間を1/3に削減! まずは30日間無料トライアル

ビル管理・アパート清掃・設備点検・現地調査など使い方は無限大!!
写真付き報告クラウドサービス

106万円の壁撤廃とは

2025年6月に成立した年金制度改正法により、2026年10月をめどにパート・アルバイトの社会保険加入における賃金要件(月額8.8万円以上=年収約106万円)が撤廃されます。改正後は、週20時間以上働けば原則として社会保険の加入対象となります。

さらに、現在は従業員51人以上の企業に限られている企業規模要件も、2027年10月以降、段階的に撤廃される方針です。最終的には2035年10月に従業員10人以下の事業所にも適用が拡大されるため、中小のビルメンテナンス会社も例外ではなくなります。

106万円の壁撤廃が清掃・ビル管理業界へ与える影響が大きい理由

社会保険の適用拡大はあらゆる業種に影響しますが、清掃・ビル管理業界への打撃が特に深刻だと考えられる理由は、業界構造そのものにあります。

  • パート比率の高さと高齢化
  • すでに限界に達している人手不足
  • 価格転嫁の困難さ

有効な対策を考えるために、まずは清掃・ビル管理業界が抱える課題について把握しておきましょう。

パート比率の高さと高齢化

ビルクリーニング業の従事者はパート・アルバイトが全体の約75%を占め、そのなかでも女性が5割以上です。清掃対象施設の稼働前、つまり早朝の短時間勤務が中心であるため、「扶養内で数時間だけ働きたい」というニーズの方が多い業種です。

こうしたパートスタッフの多くは、まさに106万円の壁を意識して就業調整を行ってきた層です。壁が撤廃されて社会保険料の負担が発生すれば、「手取りが減るくらいなら勤務時間を週20時間未満に減らす」あるいは「辞める」という選択に向かいやすいといえます。

すでに限界に達している人手不足

全国ビルメンテナンス協会の最新調査(2025年版)では、「現場従業員が集まりにくい」と回答した企業が89.5%に達しています。帝国データバンクの調査でも「メンテナンス・警備・検査」は人手不足割合69.4%と全業種で2番目に高い水準です。

つまり、現時点ですでにギリギリの人員で現場を回している企業が大半であり、ここからさらにパートが減れば業務の遂行そのものが危うくなります。

価格転嫁の困難さ

人件費が上昇しても、その分を契約料金に転嫁できなければ利益は圧縮されます。しかし、2024年度のビルメンテナンス業務の契約改定率は官公庁2.7%、民間2.6%にとどまっており、賃金上昇幅と比較すると十分とはいえません。「賃金上昇が経営を圧迫している」と回答した企業は66.1%に上っており、社会保険料の企業負担増が加わればさらに厳しい状況になることが予想されます。

パート離職に備えて清掃・ビル管理業界が取り組むべき現場DX

人手が減っても管理物件数や清掃品質を維持するには、「少ない人数でも業務が回る仕組み」を整えることが不可欠です。これはDXによって、業務の省人化を図るともいえます。

しかし、いきなりDXといわれても、何をどうしたらいいのか分からない方もいるでしょう。そんな方におすすめなのが、次のような即効性のあるDX施策です。

  • 清掃・巡回報告書のデジタル化
  • 撮影パターンによる業務の標準化
  • 業務フロー全体のデジタル化

それぞれどのような取り組みなのか、詳しく見ていきましょう。

清掃・巡回報告書のデジタル化

ビル管理の現場で最も非効率な作業の一つが、報告書の作成です。現場でデジカメやスマートフォンで撮影し、事務所に戻ってからパソコンで写真をExcelに貼り付け、コメントを入力し、印刷・FAX送信する。この一連の作業に1物件あたり30分から1時間を要しているケースは珍しくありません。

クラウド型の写真報告アプリを導入すれば、現場でスマートフォンから写真を撮影するだけで報告書が自動生成されます。事務所に戻る必要がなくなるため、1日あたり数時間単位の工数削減が見込めます。

パート1人分の労働時間を「報告書作成の効率化」で捻出できれば、パートが1人減っても現場を回せる体制に近づきます。

写真付き報告書作成アプリ「Raccoon」は、こうした現場の報告書作成を大幅に効率化するクラウドサービスです。

関連記事:商業ビル管理の定期巡回報告書をクラウド化するメリットとは?即時報告がもたらす3つの価値を紹介!

撮影パターンによる業務の標準化

ベテランのパートスタッフが退職すると、「あの人にしかわからないやり方」が失われます。清掃・巡回のルートや撮影ポイントが属人的に管理されていると、新しいスタッフへの引き継ぎに時間がかかり、品質も安定しません。

写真報告アプリの「撮影パターン」機能を活用すれば、「エントランス→ゴミ置き場→駐輪場→屋上」といった撮影ポイントをあらかじめテンプレートとして登録できます。新人スタッフでも画面の指示に従って撮影するだけで、ベテランと同じ品質の報告書が完成します。

属人化を解消し、誰が作業しても一定の品質を担保できる仕組みは、人の入れ替わりが激しくなる局面でこそ真価を発揮します。

関連記事:現場報告書のフォーマットはどう統一する?報告書の形式を揃える方法を紹介

業務フロー全体のデジタル化

報告書作成だけでなく、物件管理、スケジュール管理、外注先への業務委託管理などを含めた業務フロー全体をデジタル化することで、さらに大きな省人化効果が得られます。

たとえば、清掃スケジュールをクラウドで管理し、スタッフのシフト変更や物件の担当割り当てをリアルタイムで調整できる仕組みがあれば、急な欠員にも柔軟に対応できます。

こうした業務フロー全体のデジタル化には、自社の業務に合わせたカスタマイズが可能な「RaccoonPro」の活用がおすすめです。報告書作成・物件管理・スケジュール管理を一つのシステムに統合し、基幹業務をまるごとデジタル化することができます。

写真報告アプリで現場DXを実現したビル清掃会社の事例

ある中小ビル清掃会社では、パートスタッフ15名で約40棟のビル清掃を担当していました。清掃作業後の報告書は、各スタッフがデジカメで撮影した写真をUSBメモリで事務所に持ち帰り、事務担当者がExcelに貼り付けて作成するという流れでした。事務担当者1名がこの作業に1日約4時間を費やしており、残業が常態化していたといいます。

2026年10月の社会保険適用拡大を見据え、同社は「パートが減っても回せる体制」を構築するためにクラウド型の写真報告アプリを導入しました。各スタッフが現場でスマートフォンから写真を撮影するだけで報告書が自動生成される仕組みに切り替えたのです。

導入後、事務担当者の報告書作成作業は1日約4時間からほぼゼロに短縮されました。その時間を活用して事務担当者が現場の巡回サポートに回れるようになり、「パートが2名減っても現場が回る体制」を実現しています。

現場のパートスタッフからも「スマートフォンで写真を撮るだけなので操作が簡単」「事務所に戻らなくていいから体が楽になった」という声が上がっており、高齢スタッフの負担軽減にもつながっています。

なお、写真報告アプリによるDXは、パート従業員の負担を減らすだけではなく、投資効果が高いことも特徴です。費用対効果を計算したい方は、ぜひ下記の記事も参考にしてみてください。

関連記事:写真報告アプリの費用対効果はどのくらい?ROIの計算方法を紹介!

清掃・ビル管理業界のパート離職対策には写真報告アプリRaccoonがおすすめ!

2026年10月の106万円の壁撤廃は、パート比率75%・高齢化率58%というビルメンテナンス業界にとって、かつてない規模の人員減リスクをもたらします。すでに9割近くの企業が「現場従業員が集まりにくい」と回答している現状で、さらにパートが減れば業務の遂行そのものが危うくなりかねません。

しかし、この危機は「業務のやり方を根本から見直す」きっかけにもなります。報告書作成のデジタル化、撮影パターンによる業務標準化、業務フロー全体のクラウド化に今から取り組むことで、「少ない人数でも品質を維持できる現場」を構築することは十分に可能です。

写真付き報告書作成アプリ「Raccoon」は30日間無料でトライアル可能です。まずは主要な清掃・巡回業務の報告書作成からデジタル化を始め、2026年10月に向けた体制づくりを進めてみてはいかがでしょうか。

報告書作成時間を1/3に削減! まずは30日間無料トライアル

ビル管理・アパート清掃・設備点検・現地調査など使い方は無限大!!
写真付き報告クラウドサービス

自社専用フルカスタムの点検アプリ!貴社専用のSaaSをフルカスタムで構築します

RaccoonProは外注委託管理、物件管理、スケジュール管理などビジネスの基幹業務管理をまるごとデジタル化するカスタマイズサービスです。

執筆者
Raccoon開発者
牧野雄一郎

中小企業診断士・プログラマー・トライプランニング取締役
精密機器メーカーでの製造業エンジニアの出身、現在は中小企業向けフルカスタムのアプリ開発で、設計、実装、運用を全てこなすフルスタックエンジニアとして活躍中。製造業出身+診断士+プログラマーとして、経営と現場の両方にとって有益で使いやすい情報システム開発を実現していることが特徴。

牧野雄一郎をフォローする
不動産管理業務の効率化
シェアする
タイトルとURLをコピーしました