ビル管理や設備点検、清掃業務を複数物件で展開する事業者にとって、「どの物件が儲かっていて、どの物件が赤字なのか」を把握することは経営の根幹です。しかし、現実には「全体としては利益が出ているが、物件ごとの採算はざっくりした感覚値でしか把握できていない」という中小企業が少なくありません。
物件別の採算が見えないままでは、契約更新時の値上げ交渉も、不採算物件の撤退判断も、適切に行えません。気がつけば赤字の管理物件が増えて全社の利益を圧迫している、という状態に陥るリスクを抱え続けることになります。
本記事では、写真報告アプリで日々蓄積されるデータを活用して物件別の個別採算を可視化する方法を解説します。「自社の管理物件別採算を見える化したい」とお考えの経営者・管理部門の方は、ぜひ参考にしてみてください。
管理物件別の採算が見えない経営のリスク
不動産管理会社、設備管理会社の多くは、「物件ごとの収益は初期見積価格で計算しているので、だいたい採算は合っているはず」というレベルにとどまっています。
しかし昨今では業務コストが全体的に上昇しています。具体的には次のようなリスクがあるのです。
- 各種業務用資材が高騰している
- 最低賃金が上昇して現場の人件費を圧迫している
- 移動のためのガソリン代が上昇している
これらのリスクは、中小企業の経営において静かに進行する「見えない出血」のようなものです。初回見積時では採算が取れていても気付いたら赤字の物件が増えている可能性もあります。決算書上で利益が出ているうちは気づきにくいですが、業界全体のコスト上昇局面では、一気に表面化する危険性をはらんでいます。
この結果として以下のような経営リスクが生じてきます。
1)赤字物件が放置され続けるリスク
第一に、赤字物件が放置され続けるリスクです。全社黒字でも、内訳では数件の物件が大きな赤字を出して、その他の物件の利益で補填しているケースは少なくありません。発見が遅れるほど、累積損失は拡大します。
2)値上げ交渉のタイミング・根拠を失うリスク
第二に、値上げ交渉のタイミングと根拠を失います。物件ごとの実コストがわからなければ、「この物件は◯円値上げしてほしい」という提案ができません。結果として、長年契約金額が据え置かれ、人件費上昇や物価高に飲み込まれていきます。
3)新規受注の見積り精度が下がるリスク
第三に、新規受注の見積り精度が上がりません。既存物件の実コスト構造がブラックボックスのままでは、新規物件の見積り作成も類似物件との比較も難しく、受注時の利益見込みが甘くなりがちです。
物件別採算を可視化するために必要なこと
物件別の採算を計算する方法は、決して難しくありません。物件ごとの売上から、その物件にかかった原価を差し引くだけです。
問題は、中小企業のビル管理・清掃業務において、原価の大部分を占める「人件費」を、物件別に正確に配賦することが難しいことにあります。
人件費を物件別に配賦するには、各スタッフが「どの物件に・どれだけの時間を費やしたか」を把握する必要があります。ところが、複数物件を巡回する業務形態では、この時間配分を正確に追跡することが従来は困難でした。タイムカードや日報では「全体の労働時間」は把握できても、「物件別の作業時間」までは見えなかったのです。
ここで活用できるのが、写真報告アプリのGPS・タイムスタンプ機能です。写真付き報告書作成アプリ「Raccoon」のように、現場での撮影時刻と位置情報が自動的に記録されるサービスを活用すれば、物件ごとの実作業時間を客観データとして蓄積できます。この時間データに各スタッフの時給単価を掛け合わせれば、物件別の人件費が算出できるのです。
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写真報告データから採算を見える化する3ステップ
写真報告アプリで蓄積されるデータを使って、物件別採算を可視化していくには、以下の3ステップで段階的に進めるのが現実的です。
- 物件別の実稼働時間を集計する
- 人件費と直接コストを物件別に紐づける
- 物件別の粗利益とランキングを作成する
ステップ1:物件別の実稼働時間を集計する
まず取り組むべきは、各スタッフが各物件で何時間作業しているかを集計することです。写真の撮影時刻と位置情報から、物件ごとの入退場時刻を抽出し、稼働時間を算出します。
最初は手作業での集計でも構いません。月に1回、エクセルに転記して集計するだけでも、これまで見えなかった物件別の時間配分が明らかになります。「思っていたよりA物件に時間がかかっている」「B物件は見積りの半分の時間で終わっている」といった発見が、経営判断の出発点になるでしょう。
ステップ2:人件費と直接コストを物件別に紐づける
稼働時間が集計できたら、次は人件費の物件別配賦です。スタッフ別の時給単価(社会保険料等を含めた実コスト)を稼働時間に掛け合わせれば、各物件の人件費が算出できます。
加えて、消耗品費・移動交通費・外注費など、物件別に紐づけられる直接コストも整理しましょう。これらを合計したものが、その物件の直接原価です。
ステップ3:物件別の粗利益とランキングを作成する
各物件の売上から直接原価を差し引けば、物件別の粗利益が見えてきます。ここで物件別の粗利益ランキングを作ると、自社の現実がより鮮明に見えるはずです。
「想定通りの黒字物件」「期待以上の優良物件」「実は赤字の物件」「契約金額の見直しが必要な物件」といった分類ができ、経営判断の優先順位が明確になります。月次・四半期・年次で継続的にモニタリングすれば、収益構造の改善トレンドも追えるようになるでしょう。
より高度な個別採算管理を実現するカスタム開発の選択肢
ここまで紹介した方法は、写真報告アプリと表計算ソフトの組み合わせで実現できます。多くの中小企業にとっては、まずこのレベルでの可視化を進めることが現実的かつ効果的でしょう。
一方で、物件数が増えてきた場合や、リアルタイムでの採算把握を目指す場合は、専用の管理システムが有効です。たとえば、写真報告データから自動的に物件別の労務費を算出し、会計システムや請求管理システムと連携して物件別の損益計算書をリアルタイム生成する仕組みなどです。
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このような統合的な個別採算管理を実現するには、「RaccoonPro」のような、企業の業務フローと会計データに合わせてフルカスタムで開発できるサービスを検討するのが選択肢の一つです。写真報告・労務管理・原価計算・物件別損益までを一気通貫で運用でき、経営判断のスピードが大幅に向上します。
導入事例:物件別採算の可視化で経営を立て直したビル管理会社
ある首都圏のビル管理会社では、約600物件の管理業務を行っていました。社長は長年「全体として利益は出ているが、内訳がわからない」という状態に不安を感じていましたが、物件別の作業時間を把握する手段がなく、見える化を諦めていたのです。
転機となったのは、写真報告アプリ「Raccoon」の導入でした。当初はトラブル防止と業務記録の電子化が目的だったのですが、GPS・タイムスタンプ付きデータが蓄積されるにつれ、「これを使えば物件別の作業時間が見える」と気づいたのです。3か月間データを蓄積し、エクセルで集計してみると、衝撃的な事実が明らかになりました。
主力と思っていた大型物件のうち2件が実は赤字、契約金額が低いと思っていた小型物件のうち3件が高い利益率を出している、ベテラン担当者が回る物件のほうが新人担当者の物件より逆に時間がかかっている、といった具合です。これまでの感覚値とまったく異なる現実が、データから浮かび上がってきました。
このデータをもとに、赤字物件の値上げ交渉、新人担当者へのノウハウ共有による業務効率化、新規受注時の見積り根拠の精緻化を順次進めた結果、1年後には全社の営業利益率が約3ポイント改善し、赤字物件は2件から0件に減少しました。社長は「数字が見えただけで、これまで漠然と不安だった経営に確信が持てるようになりました」と話しています。
このように、物件別採算の可視化は、中小企業経営に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。日々の業務データの中に、経営改善のヒントは眠っているのです。
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物件別採算の可視化なら写真報告アプリRaccoonがおすすめ!
物件別の個別採算を把握することは、中小規模のビル管理・清掃・設備点検事業者にとって、収益構造の改善と経営判断の精度向上に直結する重要なテーマです。感覚値で物件別採算を語る時代から、データに基づいて経営判断を下す時代へと、中小企業も着実に移行しつつあります。
写真報告アプリで日々蓄積されるGPS・タイムスタンプ付きデータは、特別な投資をしなくても物件別採算の可視化に活用できる貴重な経営資源です。写真付き報告書作成アプリ「Raccoon」は、現場の写真記録を経営データへと変える、中小企業向けの実用的なクラウドサービスです。
Raccoonは無料トライアルも可能なので、ぜひ一度お試しください。物件別の損益計算をリアルタイムで自動化したい、会計システムと連携したい、といった高度なニーズには、フルカスタム開発の「RaccoonPro」もご検討いただけます。





