「写真報告アプリを導入したいが、今使っている基幹システムとデータを連携できるのか」「Salesforceに報告データを自動で取り込みたい」「Kintoneで管理している物件情報と紐づけられるか」─写真報告アプリの導入を検討する際、こうしたシステム連携に関する疑問を持つ企業は少なくありません。
特に、すでに基幹システムや顧客管理システム(CRM)を運用している企業にとって、新しいツールが既存システムと連携できるかどうかは、導入可否を左右する重要なポイントです。データが分断されてしまうと、二重入力の手間が発生したり、情報の一元管理ができなくなったりと、かえって業務効率が低下する恐れがあります。
本記事では、写真報告アプリと既存システムを連携させるための方法について、API連携からデータエクスポートまで、多角的に解説します。不動産管理業界の事例を交えながら、導入検討時に確認すべきポイントをお伝えします。
写真報告アプリを基幹システムと連携させる重要性
企業の業務システムは、時代とともに増え続ける傾向にあります。顧客管理にはSalesforce、案件管理にはKintone、会計処理には専用の基幹システム、そして現場報告には写真報告アプリ──というように、業務ごとに異なるシステムを使い分けている企業は珍しくありません。
そして写真報告アプリを含め、デジタルツールを導入する際は、それぞれのシステムを連携させることが非常に重要です。
これらのシステムがそれぞれ独立して稼働してデータが連携されていない、いわゆる「データの孤島化」が起こると、同じ情報を複数のシステムに手入力する必要が生じます。このような「データの孤島化」が生じている場合、入力の手間が増えるだけでなく、入力ミスや情報の不整合が発生するリスクも高まるため注意しなければなりません。
不動産管理業務を例に考えてみましょう。物件情報は基幹システムで管理し、巡回報告は写真報告アプリで作成し、オーナーへの報告履歴はExcelで管理している──という状況では、「この物件の前回の巡回はいつだったか」「このオーナーには何回報告を送ったか」といった情報を確認するために、複数のシステムを行き来しなければなりません。
このような問題点をふまえると、写真報告アプリを基幹システムと連携させる目的としては、次の3つが挙げられます。
- データの自動同期
- マスタデータの共有
- データの二次利用
1つ目は「データの自動同期」で、写真報告アプリで作成した報告データを、自動的に基幹システムやCRMに取り込みたい場合、それぞれのシステムを連携させなければなりません。
2つ目は「マスタデータの共有」で、基幹システムで管理している物件情報や顧客情報を、写真報告アプリ側でも参照したいというケースです。
3つ目は「データの二次利用」で、報告データをExcelやCSVでエクスポートし、集計・分析や他システムへのインポートに活用したい場合も、やはりデータ連携が必要です。
そして目的によって、最適な連携方法は異なります。リアルタイムの自動同期が必要であればAPI連携が適していますが、定期的なデータ移行で目的を達成できる場合はCSV出力で対応できるかもしれません。
過剰な連携機能を求めると、導入コストや運用負荷が増大するため、自社のニーズに合った方法を選ぶことが大切です。
写真報告アプリと基幹システムの連携方法
さて、写真報告アプリを基幹システムと連携するといっても、その方法にはいくつかの種類があります。
- API連携
- Excel・CSVエクスポート
- URL共有
- 写真一括ダウンロード
- 複数帳票のZIPダウンロード
それぞれの連携方法の特徴を紹介するので、システム開発の参考にしてみてください。
API連携─リアルタイム連携を実現する方法
API(Application Programming Interface)連携は、異なるシステム間でデータをリアルタイムにやり取りするための仕組みです。API連携なら、写真報告アプリで報告が作成されると、即座に基幹システムやCRMにデータが反映されるといった動きが可能になります。
SalesforceやKintoneなどのクラウドサービスは、外部システムとの連携を前提としたAPIを公開しています。写真報告アプリ側もAPIに対応していれば、これらのシステムと直接データをやり取りできます。
ただし、API連携の実装には、ある程度の技術的な知識と開発工数が必要です。社内にシステム担当者がいない中小企業の場合、開発会社に依頼するか、API連携をサポートしてくれるサービスを選ぶ必要があります。
写真報告アプリRaccoonProでは、企業ごとの業務フローに合わせたフルカスタマイズ開発に対応しており、SalesforceやKintone、社内基幹システムとのAPI連携も実装可能です。「自社の基幹システムと繋ぎたい」「CRMに報告データを自動連携させたい」といった要望にも、個別に対応できます。
Excel・CSVエクスポート─汎用性の高い定番手法
API連携ほどのリアルタイム性は必要ないが、報告データを他システムで活用したい──という場合に有効なのが、Excel・CSV形式でのデータエクスポートです。
ExcelやCSVは、ほぼすべての業務システムでインポート可能な汎用フォーマットです。写真報告アプリからエクスポートしたデータを、基幹システムやBIツールに取り込んで集計・分析するといった使い方ができます。
汎用的な写真報告アプリRaccoonでは、報告データをExcel形式でエクスポートする機能を標準搭載しています。報告日時、物件名、撮影場所、コメントなどの情報を一覧形式で出力できるため、月次の集計レポート作成や、基幹システムへの一括インポートに活用できます。
定期的なデータ移行であれば、API連携を構築するよりも、Excel・CSVエクスポートを活用する方がシンプルで運用しやすいケースも多いです。まずはエクスポート機能で運用を始め、業務が拡大した段階でAPI連携に移行するという段階的なアプローチも有効です。
URL共有─システムを超えたデータ参照
写真報告アプリで作成した報告書を、他システムから参照したい場合に便利なのがURL共有機能です。
報告書ごとに固有のURLが発行され、そのURLをクリックすると報告内容を閲覧できる仕組みです。このURLを基幹システムやCRMの備考欄に貼り付けておけば、システムを切り替えることなく報告内容を確認できます。
たとえば、Kintoneで物件情報を管理している場合、各物件のレコードに「最新巡回報告URL」というフィールドを設けておき、Raccoonの報告URLを登録しておけば、Kintoneの画面から直接報告書を閲覧できるようになります。
API連携のような開発工数をかけずに、システム間の情報参照を実現できる手軽な方法として、多くの企業で活用されています。
写真一括ダウンロード─画像データの二次利用
報告書に添付された写真を、まとめてダウンロードしたいというニーズもあります。
オーナーへの報告資料を独自のフォーマットで作成し直す場合や、社内の別システムに写真をアップロードする場合、写真データを個別にダウンロードするのは手間がかかります。一括ダウンロード機能があれば、指定した期間や物件の写真をまとめて取得できます。
Raccoonでは、報告に紐づく写真を一括でダウンロードする機能を用意しています。ダウンロードした写真は、提案資料の作成や社内資料への転用など、様々な用途に活用できます。
複数帳票のZIPダウンロード─大量データの一括処理
月末や期末に、大量の報告書をまとめてダウンロードして保管したい、印刷して製本したいというケースもあります。
1件ずつPDFをダウンロードするのは現実的ではありません。複数の報告書をZIPファイルにまとめてダウンロードできる機能があれば、数百件の報告書も一括で取得できます。
Raccoonでは、指定した条件に該当する報告書のPDFを、ZIPファイルにまとめてダウンロードする機能を提供しています。「今月の全報告書」「特定のオーナーに関する報告書」といった単位で一括取得でき、社内保管や顧客への一括送付に活用できます。
写真報告アプリを外部スタッフと共有・連携する方法
システム連携とは少し異なりますが、「外部のスタッフに写真撮影を依頼したい」というニーズも、写真報告アプリ導入時によく聞かれる要望です。
不動産管理業務では、入居者自身に室内の状況を撮影してもらいたいケースがあります。たとえば、退去時の原状回復トラブルを防ぐために、入居時の室内状況を記録しておきたい場合です。管理会社のスタッフが立ち会えない場合でも、入居者にスマートフォンで撮影してもらえれば、記録として残すことができます。
関連記事:不動産の退去立会いトラブルを防ぐには写真報告アプリがおすすめ!【管理会社向け】
また、協力会社(外注先)のスタッフに清掃完了後の写真を撮影してもらいたいケースもあります。外注先に写真報告アプリのアカウントを発行する方法もありますが、アカウント管理の手間やセキュリティの観点から、別の方法が求められることもあります。
このような場合におすすめなのが、Raccoonのプライムプランで利用できる「外部撮影依頼」機能です。これは、アプリのアカウントを持たない外部の人物に、写真撮影を依頼できる機能です。
管理画面から撮影依頼を発行すると、専用のURLが生成されます。このURLを入居者や外注スタッフにメールやSMSで送信すれば、相手はスマートフォンのブラウザから写真を撮影・送信できます。送信された写真は、Raccoonの報告データとして自動的に取り込まれます。
この機能を活用すれば、入居時の室内写真を入居者自身に撮影してもらったり、協力会社の作業完了写真を受け取ったりすることが、アカウント発行なしで実現できます。
写真報告アプリと基幹システムを連携した不動産管理会社の実例
千葉県内で約500棟の賃貸物件を管理するE社では、物件情報の管理にKintone、オーナーへの報告書作成にExcel、写真の保管に社内ファイルサーバーを使用していました。3つのシステムにデータが分散しており、情報の一元管理ができていないことが課題でした。
巡回報告の作成には、現場で撮影した写真をパソコンに取り込み、Excelに貼り付け、Kintoneの物件情報を参照しながらコメントを記入するという流れで行っていました。1件あたり30分以上かかり、担当者の残業時間が慢性的に増加していました。
また、入居時の室内写真の撮影も課題でした。立ち会いのスケジュール調整が難しく、写真を撮れないまま入居が始まってしまうケースがあり、退去時のトラブルにつながることもありました。
導入した連携方法
E社は、写真報告アプリRaccoonとRaccoonProのカスタマイズ開発を組み合わせて導入しました。
まず、KintoneとのURL連携を構築しました。Kintoneの物件レコードに「巡回報告URL」フィールドを追加し、Raccoonで作成した報告書のURLを登録する運用としました。これにより、Kintoneの画面から直接報告書を閲覧できるようになりました。API連携による自動同期ではありませんが、開発コストを抑えつつ、実用的な連携を実現しています。
次に、月次の集計レポート作成にはExcelエクスポート機能を活用しています。月末に報告データをExcel形式で一括出力し、社内の集計フォーマットに取り込んで分析しています。
また、入居時の室内写真撮影には「外部撮影依頼」機能を活用しています。入居者にURLを送信し、スマートフォンで室内を撮影してもらう運用です。立ち会いなしでも写真記録が残せるようになり、退去時のトラブル防止に役立っています。
写真報告アプリの導入効果
導入から6か月が経過した時点で、E社では以下の効果が確認されています。
報告書作成時間は1件あたり30分から10分程度に短縮され、月間で約170時間の削減効果が得られました。担当者の残業時間も大幅に減少し、ワークライフバランスが改善しています。
Kintoneとの連携により、物件情報と巡回報告を一元的に確認できるようになり、オーナーからの問い合わせにも迅速に対応できるようになりました。
入居時写真の撮影率は、導入前の約60%から約95%に向上しました。退去時のトラブルも減少傾向にあり、原状回復費用の請求がスムーズになったといいます。
E社の管理部長は「API連携で完全自動化することも検討しましたが、URL連携とExcelエクスポートの組み合わせで十分に業務効率化できました。段階的に導入を進められたのも良かったです」と語っています。
写真報告アプリと基幹システムの連携方法は「目的」から逆算して選ぶ
写真報告アプリと既存システムの連携方法は、API連携だけではありません。Excel・CSVエクスポート、URL共有、写真一括ダウンロード、ZIPダウンロードなど、多彩な手段が用意されています。
重要なのは、「何のために連携するのか」という目的を明確にし、その目的に合った方法を選ぶことです。リアルタイムの自動同期が必要であればAPI連携、定期的なデータ移行であればExcel・CSV、システム間の情報参照であればURL共有というように、目的と手段をマッチさせることで、過剰な開発コストをかけずに効果的な連携を実現できます。
Raccoonでは、標準機能としてExcelエクスポート、URL共有、写真一括ダウンロード、ZIPダウンロードなどの連携手段を提供しています。さらに、RaccoonProのカスタマイズ開発を活用すれば、SalesforceやKintone、社内基幹システムとのAPI連携も実装可能です。
「自社のシステム環境に合った連携方法がわからない」「まずは相談したい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。業務フローをヒアリングした上で、最適な連携方法をご提案いたします。


