ビルメンテナンス業界の人手不足は、年々深刻さを増しています。とはいえ、人手が足りないからといって管理品質を落とすわけにはいきません。清掃や設備点検を請け負っている以上、オーナーやテナントへの報告義務は変わらず、むしろ品質管理の目が厳しくなる傾向にあります。
本記事では、少人数で多くの物件を管理する中小ビル管理・清掃会社の経営者や現場責任者の方に向けて、1人で複数物件を巡回する際の報告書作成を効率化する具体的な方法を紹介します。
1人巡回を効率化する鍵は「報告書の現場作成」
「1人で1日に5〜10物件を回る」という働き方は、中小のビル管理・清掃会社では珍しくありません。しかし、巡回件数が増えるほど、報告書まわりの業務負荷は重くなっていきます。1人で複数物件を巡回する場合、日中は現場作業に追われ、報告書は帰社後にまとめて作成するというパターンが一般的です。しかし、1件あたり30〜40分かかる報告書作成を5件分まとめて行うと、それだけで2〜3時間の事務作業になります。
巡回件数が増えれば増えるほど、帰社後の残業が長くなる構造です。現場作業は定時内に終わっているのに、報告書のために毎日残業するという状況は、スタッフの疲弊と離職につながりかねません。
また、1日に多くの物件を回ると、「あの不具合はどの物件で見つけたか」「写真はどの設備のものか」といった記憶の混乱が起こりやすくなります。とくに、似たような設備を持つ物件を連続で巡回した場合、帰社後に報告書を書く段階で記憶があいまいになるのは自然なことです。
記憶に頼った報告は、記録の正確性を損なうだけでなく、設備の異常を見落とすリスクにも直結します。
さらに、巡回中にスマートフォンで撮影した写真は、カメラロールに時系列で蓄積されていきます。1日で数十枚、多い日は100枚を超える写真のなかから、物件ごと・設備ごとに該当する写真を選び出し、報告書に貼り付ける作業は非常に手間がかかります。
結果として、写真の選別と貼り付けだけで報告書作成時間の半分を占めているというケースも少なくありません。さらに、写真の取り違えが発生すれば、報告書の信頼性そのものが揺らいでしまいます。
このような課題をふまえると、1人巡回を効率化する鍵は「報告書の現場作成」にあるといえるでしょう。
巡回現場で報告書作成を完結させるポイント
1人巡回の課題の多くは、「現場作業」と「報告書作成」が分離していることに起因しています。つまり、現場にいる間に報告を完結できれば、帰社後の事務作業は大幅に減らせます。しかし、巡回現場で報告書を作成することなどできるのでしょうか。
実は、「写真報告アプリ」を活用すれば、 帰社後にまとめて書くのではなく、1つの物件での作業が終わった時点で報告書を完成させる運用が可能です。スマートフォンやタブレットを使って、点検結果の記入と写真の添付を現場でまとめて行えるのです。
しかし、写真報告アプリであれば、何を使ってもいいわけではありません。巡回現場で報告書作成を完結させるためには、次のポイントを満たした写真報告アプリを導入する必要があります。
- 写真管理を自動化できる撮影テンプレート機能
- 訪問記録を自動化するGPS機能
それぞれ詳しく見ていきましょう。
写真管理を自動化できる撮影テンプレート機能
物件・設備ごとに「どこを」「何枚」撮影するかを事前にテンプレート化しておくと、現場での判断負担が減り、撮影漏れも防げます。テンプレートに沿って撮影した写真は、自動的に該当する報告書の項目に紐づくため、帰社後の写真選別作業が不要になります。
とくに新人スタッフや応援スタッフが巡回に入る場合にも、テンプレートがあれば一定の品質を維持した報告が可能です。属人的な判断に頼らない仕組みをつくることが、少人数体制での品質維持につながります。
写真付き報告書作成アプリ「Raccoon」は、物件ごとに撮影テンプレートを設定できるため、巡回先ごとに必要な写真が一目でわかります。スマートフォンのブラウザからアクセスするだけで使えるウェブアプリ型なので、新しいスタッフにも手軽に共有できます。
訪問記録を自動化するGPS機能
クラウド型の報告書ツールのなかには、写真撮影時のGPS情報(位置情報)を自動で記録する機能を備えたものがあります。この機能を活用すれば、「いつ」「どこで」作業を行ったかが自動的に記録され、訪問の証跡を残す手間が省けます。
1人で巡回する場合、管理者が現場の作業状況を直接確認できないケースが大半です。GPS情報付きの写真報告があれば、訪問の事実を客観的に証明でき、オーナーへの報告にも説得力が増します。
関連記事:現場作業の「証明」には写真報告アプリがおすすめ!GPS(場所)と写真(作業記録)を自動連携する方法を紹介
報告業務をさらに効率化する方法
1人巡回のもうひとつの特徴は、物件間の移動時間が発生することです。この移動時間を活用することで、報告業務をさらに効率化できます。
現場作業の終了後、次の物件へ移動する前の5分間を「報告仕上げタイム」として確保する運用が効果的です。作業直後であれば記憶も鮮明で、写真と点検結果の紐づけもスムーズに行えます。
この「5分ルール」を習慣化するだけで、帰社後の事務作業をほぼゼロにできたという現場の声もあります。5件の巡回であれば、合計25分で全物件の報告が完了する計算です。帰社後に2〜3時間かけていた作業が、移動の合間に分散されることで、体感的な負担も大幅に軽減されます。
スマートフォンやタブレットで報告書を作成できるアプリなら、わざわざPCを立ち上げる手間もかかりませんから、移動前の5分で報告を仕上げることを習慣づけるのも簡単でしょう。
なお、公共交通機関を使って移動する場合は、車内で報告内容の最終確認を行うことも可能です。スマートフォンで入力した内容をクラウド上で確認し、誤字脱字や写真の抜け漏れをチェックするだけでも、帰社後の確認・修正作業を減らせます。
ただし、移動中の作業はあくまで「確認」にとどめ、詳細な入力作業は現場で完了させておくのが前提です。現場完結+移動中確認の二段構えで、帰社後の報告業務をゼロに近づけることが理想的な運用です。
【導入事例】1人で8物件を巡回する清掃会社が報告時間を7割削減
ある従業員10名規模の清掃会社では、オフィスビルや商業施設の日常清掃と巡回点検を請け負っていました。人手不足の影響で、ベテランスタッフ1人が1日8物件を巡回する体制が常態化しており、帰社後の報告書作成に毎日2〜3時間を費やしていました。
とくに負担が大きかったのは、写真の整理です。1日で撮影する写真は80〜100枚にのぼり、物件ごとに仕分けてExcelに貼り付ける作業だけで1時間以上かかっていました。「写真を間違えて別の物件の報告書に貼ってしまった」という事故も月に2〜3件発生しており、差し戻しと修正がさらに工数を圧迫していました。
「このままでは新規案件を受けられないし、スタッフも辞めてしまう」という危機感から、写真報告アプリの導入を決断。まず3物件を対象に、現場で写真と点検結果を入力し、その場で報告を完結させる運用に切り替えました。
導入から2か月後には全物件に展開を完了。1件あたりの報告書作成時間は平均35分から約10分に短縮され、帰社後の事務作業に充てていた2〜3時間がほぼゼロになりました。写真は撮影時に自動で報告書に紐づくため、写真の取り違えによる差し戻しも完全に解消されています。
これだけ残業時間が減るとなると、写真報告アプリの費用対効果は非常に大きいといえるのではないでしょうか。
関連記事:写真報告アプリの費用対効果はどのくらい?ROIの計算方法を紹介!
また、スタッフからは「帰社後すぐに帰れるようになったのが何よりうれしい」という声が寄せられ、管理者からも「リアルタイムで報告が上がってくるので、問題があればすぐに対応できるようになった」との評価を得ています。
さらに、報告業務の効率化で生まれた時間的余裕により、新規に2物件の巡回を追加で受注することにも成功しました。
少人数での巡回報告の効率化には写真報告アプリRaccoonがおすすめ!
本記事では、人手不足のなかで1人が複数物件を巡回する現場における報告書作成の課題と、その解決策を紹介しました。
ポイントは、「帰社後にまとめて書く」という従来の運用から、「現場でその場で完結させる」運用に切り替えることです。撮影テンプレートやGPS機能を活用すれば、報告品質を落とすことなく、作業時間を大幅に短縮できます。
写真付き報告書作成アプリ「Raccoon」 は、スマートフォンのブラウザからすぐに使えるウェブアプリ型の報告書作成サービスです。物件ごとのテンプレート設定、写真と点検データの一体管理、GPS情報の自動記録など、1人巡回の現場に必要な機能を備えています。
自社の業務フローに合わせて点検項目や報告書レイアウトをカスタマイズしたい場合は、フルカスタム対応の「RaccoonPro」もご検討ください。巡回ルートや物件特性に最適化されたアプリを開発でき、より高度な業務効率化を実現できます。
無料トライアルも用意しておりますので、まずは1〜2物件からお試しください。
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